第六章 審判

審判の種類にはどのようなものがあるか 拒絶・無効・存続期間・訂正

(拒絶査定に対する審判)
第百二十一条
 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三十日以内に審判を請求することができる。
2 前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
(平六法一一六・一部改正)


第百二十二条 削除
(平五法二六)


(特許の無効の審判)
第百二十三条
特許が次の各号の一に該当するときは、その特許を無効にすることについて審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき。
三 その特許が条約に違反してされたとき。
四 その特許が第三十六条第四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。
五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
六 その特許が発明者でない者であつてその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してされたとき。
七 特許がされた後において。その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
八 その特許の願書に添付した明細書又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書若しくは第二項から第四項まで(第百二十条の四第三項又は第百三十四条第五項において準用する場合を含む。)、第百二十条の四第二項ただし書又は第百三十四条第二項ただし書の規定に違反してされたとき。
2 前項の審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
3 審判長は、第一項の審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
(昭四五法九一・昭五〇法四六・昭六〇法四一・昭六二法二七・平二法三〇・平五法二六・平六法一一六・平八法六八・一部改正)


第百二十四条 削除
(昭六二法二七)


第百二十五条 特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
(平五法二六・平六法一一六・一部改正)


(存続期間の延長登録の無効の審判)
第百二十五条の二
 特許権の存続期間の延長登録が次の各号の一に該当するときは、その延長登録を無効にすることについて審判を請求することができる。
一 その延長登録がその特許発明の実施に第六十七条第二項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。
二 その延長登録が、その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは登録した通常実施権を有する者が第六十七条第二項の政令で定める処分を受けていない場合の出願に対してされたとき。
三 その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
四 その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
五 その延長登録が第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
2 第百二十三条第二項及び第三項の規定は、前項の審判の請求について準用する。
3 延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。ただし、延長登録が第一項第三号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。
(昭六二法二七・追加、平五法二六・一部改正)


(訂正の審判)
第百二十六条
 特許権者は、特許異議の申立て又は第百二十三条第一項の審判が特許庁に係属している場合を除き、願書に添付した明細書又は図面の訂正をすることについて審判を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明りようでない記載の釈明
2 前項の明細書又は図面の訂正は、願書に添付した明細書又は図面(同項ただし書第二号の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
3 第一項の明細書又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。
4 第一項ただし書第一号及び第二号の場合は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
5 第一項の審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が取消決定により取り消され、又は第百二十三条第一項の審判により無効にされた後は、この限りでない。
(平五法二六・平六法一一六・一部改正)


第百二十七条 特許権者は、専用実施権者、質権者又は第三十五条第一項、第七十七条第四項若しくは第七十八条第一項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、前条第一項の審判を請求することができる。
第百二十八条 願書に添付した明細書又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。
(昭四五法九一・平六法一一六・一部改正)


第百二十九条及び第百三十条 削除
(平五法二六)


審判を請求しようとする者はどうするか  審判の請求書の提出

(審判請求の方式)
第百三十一条
 審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 審判事件の表示
三 請求の趣旨及びその理由
2 前項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第百二十三条第一項の審判以外の審判を請求する場合における前項第三号に掲げる請求の理由については、この限りでない。
3 第百二十六条第一項の審判を請求するときは、請求書に訂正した明細書又は図面を添附しなければならない。
(平八法六八・平一〇法五一・一部改正)


(共同審判)
第百三十二条
 同一の特許権について第百二十三条第一項又は第百二十五条の二第一項の審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
2 共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。
3 特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
4 第一項若しくは前項の規定により審判を請求した者又は第二項の規定により審判を請求された者の一人について、審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
(昭六二法二七・平五法二六・一部改正)


審判の請求があった時、審判長はどうするか

(方式に違反した場合の決定による却下)
第百三十三条 
審判長は、請求書第百三十一条第一項又は第三項の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
2 審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、その補正をすべきことを命ずることができる。
一 手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三 手続について第百九十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。
3 審判長は、前二項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもつてその手続を却下することができる。
4 前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
(昭五九法二三・平八法六八・一部改正)


(不適法な手続の却下)
第百三十三条の二
 審判長は
、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
3 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
(平八法六八・追加)


(答弁書の提出等)
第百三十四条
 審判長は、審判の請求があつたときは請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
2 第百二十三条第一項の審判の被請求人は、前項又は第百五十三条第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明りようでない記載の釈明
3 審判長は、第一項の答弁書又は前項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書若しくは図面を受理したときは、その副本を請求人に送達しなければならない。
4 審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。
5 第百二十六条第二項から第五項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百六十五条の規定は、第二項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第四項中「第一項ただし書第一号及び第二号の場合は」とあるのは、「第百二十三条第一項の審判においては、同項の審判の請求がされていない請求項についての訂正であつて、第百三十四条第二項ただし書第一号又は第二号の場合は」と読み替えるものとする。
(平五法二六・平六法一一六・平一一法四一・一部改正)


(不適法な審判請求の審決による却下)
第百三十五条
 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。


審判官の体制はどのようなものであるか 合議体


(審判の合議制)
第百三十六条
 審判は、三人又は五人の審判官合議体が行う。
2 前項の合議体の合議は、過半数により決する。
3 審判官の資格は、政令で定める。


(審判官の指定)
第百三十七条
 特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第一項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
2 特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。
(昭四五法九一・平五法二六・一部改正)


(審判長)
第百三十八条
 特許庁長官は、前条第一項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
2 審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。


審判官の除訴忌避

(審判官の除斥)
第百三十九条
 審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき又はあつたとき。
二 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき又はあつたとき。
三 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき又はあつたとき。
六 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
七 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。
(昭三七法一六一・昭五〇法四六・平五法二六・平一一法一五一・一部改正)


第百四十条 前条に規定する除斥の原因があるときは、当事者又は参加人は、除斥の申立をすることができる。


(審判官の忌避)
第百四十一条
 審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参加人は、これを忌避することができる。
2 当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもつて陳述をした後は審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。


(除斥又は忌避の申立の方式)
第百四十二条
 除斥又は忌避の申立をする者は、その原因を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。ただし、口頭審理においては、口頭をもつてすることができる。
 除斥又は忌避の原因は、前項の申立をした日から三日以内に疎明しなければならない。前条第二項ただし書の事実も、同様とする。


(除斥又は忌避の申立についての決定)
第百四十三条 除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立に係る審判官以外の審判官が審判により決定をする。ただし、その申立に係る審判官は、意見を述べることができる。


2 前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
3 第一項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百四十四条 除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立についての決定があるまで審判手続を中止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。


審判書記官


(審判書記官)
第百四十四条の二
 特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について審判書記官を指定しなければならない。
2 審判書記官の資格は、政令で定める。
3 特許庁長官は、第一項の規定により指定した審判書記官が審判に関与することに故障があるときは、その指定を解いて他の審判書記官を指定しなければならない。
4 審判書記官は、審判事件に関し、調書の作成及び送達に関する事務を行うほか、審判長の命を受けて、その他の事務を行う。
5 第百三十九条(第六号を除く。)及び第百四十条から前条までの規定は、審判書記官に準用する。この場合において、除斥又は忌避の申立てに係る審判書記官は、除斥又は忌避についての審判に関与することができない。
(平一一法四一・追加)

審判の審理の方式


(審判における審理の方式)
第百四十五条
 第百二十三条第一項又は第百二十五条の二第一項の審判は、口頭審理による。ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。
2 前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
3 審判長は、第一項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。
4 民事訴訟法第九十四条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。
5 第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。
(昭六二法二七・平五法二六・平八法一一〇・一部改正)


第百四十六条 民事訴訟法第百五十四条(通訳人の立会い等)の規定は、審判に準用する。
(平八法一一〇・一部改正)


(調書)
第百四十七条
 第百四十五条第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。
2 審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。
3 民事訴訟法第百六十条第二項及び第三項(口頭弁論調書)の規定は、第一項の調書に準用する。
(平八法一一〇・平一一法四一・一部改正)

審判への参加


(参加)
第百四十八条
 第百三十二条第一項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。
2 前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。
3 審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。
4 前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。
5 第一項又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。


第百四十九条 参加を申請する者は参加申請書を審判長に提出しなければならない。
2 審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を当事者及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。
4 前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
5 第三項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。



(証拠調及び証拠保全)
第百五十条
 審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。
2 審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。
3 前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。
4 特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。
5 審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
6 第一項又は第二項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。
(平一一法四一・一部改正)


第百五十一条
 第百四十七条並びに民事訴訟法第九十三条第一項(期日の指定)、第九十四条(期日の呼出し)、第百七十九条から第百八十一条まで、第百八十三条から第百八十六条まで、第百八十八条、第百九十条、第百九十一条、第百九十五条から第百九十八条まで、第百九十九条第一項、第二百一条から第二百四条まで、第二百六条、第二百七条、第二百十条から第二百十三条まで、第二百十四条第一項から第三項まで、第二百十五条から第二百二十二条まで、第二百二十三条第一項から第六項まで、第二百二十六条から第二百二十八条まで、第二百二十九条第一項から第三項まで、第二百三十一条、第二百三十二条第一項、第二百三十三条、第二百三十四条、第二百三十六条から第二百三十八条まで、第二百四十条から第二百四十二条まで(証拠)及び第二百七十八条(尋問に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。この場合において、同法第百七十九条中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と、同法第二百四条中「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。
(平八法一一〇・全改、平一一法一六〇・平一三法九六・一部改正)


(職権による審理)
第百五十二条
 審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。


第百五十三条
 審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
3 審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。


(審理の併合又は分離)
第百五十四条
 当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。
2 前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。


(審判の請求の取下げ)
第百五十五条 
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。

2 審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について第百二十三条第一項の審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
(昭五〇法四六・昭六二法二七・一部改正)


審決


(審理の終結の通知)
第百五十六条
 審判長は、事件が審決をするのに熟したときは審理の終結当事者及び参加人に通知しなければならない。
2 審判長は、必要があるときは、前項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、審理の再開をすることができる。
3 審決は、第一項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。



(審決)
第百五十七条
 審決があつたときは、審判は、終了する。
2 審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
一 審判の番号
二 当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 審判事件の表示
四 審決の結論及び理由
五 審決の年月日
3 特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
(平八法一一〇・一部改正)



(拒絶査定に対する審判における特則)
第百五十八条
 審査においてした手続は、第百二十一条第一項の審判においても、その効力を有する。


第百五十九条
 第五十三条の規定は、第百二十一条第一項の審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第二号」とあるのは「第十七条の二第一項第二号又は第三号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第二号に掲げる場合にあつては、第百二十一条第一項の審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第五十条の規定は、第百二十一条第一項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第二号に掲げる場合」とあるのは、「第十七条の二第一項第二号又は第三号に掲げる場合(同項第二号に掲げる場合にあつては、第百二十一条第一項の審判の請求前に補正をしたときを除く。)」と読み替えるものとする。
3 第五十一条及び第六十七条の三第二項の規定は、第百二十一条第一項の審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
(昭四五法九一・昭五〇法四六・昭六〇法四一・平五法二六・平六法一一六・平一一法四一・一部改正)
第百六十条 第百二十一条第一項の審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
2 前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
3 第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。


第百六十一条 第百三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第百四十八条並びに第百四十九条の規定は、第百二十一条第一項の審判には、適用しない。
(平五法二六・一部改正)


第百六十二条 特許庁長官は、第百二十一条第一項の審判の請求があつた場合において、その日から三十日以内にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書又は図面について補正があつたときは審査官にその請求を審査させなければならない。
(昭四五法九一・追加、平五法二六・旧第百六十一条の二繰下、平六法一一六・一部改正)


第百六十三条 第四十八条、第五十三条及び第五十四条の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第二号」とあるのは「第十七条の二第一項第二号又は第三号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第二号に掲げる場合にあつては、第百二十一条第一項の審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第五十条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第二号に掲げる場合」とあるのは、「第十七条の二第一項第二号又は第三号に掲げる場合(同項第二号に掲げる場合にあつては、第百二十一条第一項の審判の請求前に補正をしたときを除く。)」と読み替えるものとする。
3 第五十一条及び第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
(昭四五法九一・追加、昭五〇法四六・一部改正、平五法二六・旧第百六十一条の三繰下・一部改正、平六法一一六・一部改正)
第百六十四条 審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
3 審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
(昭四五法九一・追加、昭五〇法四六・一部改正、平五法二六・旧第百六十一条の四繰下・一部改正、平六法一一六・一部改正)


(訂正の審判における特則)
第百六十五条
 審判長は、第百二十六条第一項の審判の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第二項から第四項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
(平五法二六・旧第百六十四条繰下・一部改正、平六法一一六・一部改正)
第百六十六条 第百三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第百四十八条並びに第百四十九条の規定は、第百二十六条第一項の審判には、適用しない。
(平五法二六・一部改正)


(審決の効力)
第百六十七条
 何人も、第百二十三条第一項又は第百二十五条の二第一項の審判の確定審決の登録があつたときは、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
(昭六二法二七・平五法二六・一部改正)

訴訟との関係


(訴訟との関係)
第百六十八条
 審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
(平五法二六・平六法一一六・平一一法四一・一部改正)

審判の費用


(審判における費用の負担)
第百六十九条
 第百二十三条第一項又は第百二十五条の二第一項の審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。
2 民事訴訟法第六十一条から第六十六条まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。この場合において、同法第七十一条第二項中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。
3 第百二十一条第一項又は第百二十六条第一項の審判に関する費用は、請求人又は申立人の負担とする。
4 民事訴訟法第六十五条(共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人又は申立人が負担する費用に準用する。
5 審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。
6 審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。
(昭四六法四二・昭六二法二七・平五法二六・平八法一一〇・平一一法一六〇・一部改正)


(費用の額の決定の執行力)
第百七十条 審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。